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裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA) 宮澤伊織。 気に入りました。

 早川文庫のラノベってどんなんだろう、みたいノリで読んだのだけど面白い。

似ていないけど、『遠野物語』が東北ローカルに語り継がれる古潭をベースにしたように、文章やネットで今語られてきている都市伝説をベースに異世界との接触を描く。

 

異世界ではなく、ここでは『うら』、『裏世界』と呼ばれるが、普通のラノベのように判り易い冒険や失敗が始まるのではなく、理解できない世界との関わりを描き、恐怖を媒介とするその在り方の説明は合理的てユニーク。

うまく説明されていますし、普通のように見えて変幻する世界は魅力的です。

 

『 「くねくね」や「八尺様」など実話怪談として語られる危険な存在が隣合わせで謎だらけの裏世界。

研究とお金稼ぎ、そして大切な人を探すため、鳥子と空魚は非日常へと足を踏み入れる――  気鋭のエンタメSF作家が贈る、女子ふたり怪異探検サバイバル! 』

 

軽いノリに見えて結構充実しています。

後書きで引用した実話?の説明もありますが、完全に話のファクターして消化して物語に組み入れられて昇華されていますので、ネタバレの白け感などは全くありません。

 

現実であって現実でない『裏』世界も魅力的ですが、都市伝説や実話語りをそのまま生かした細部にも魅かれるものが有ります。

異世界への扉とか、エレベーターで異界へ行く手段とか。

 

たまに派手なバトル、でないようなバトル?もスケール大きくあって、作者の読ませる手腕はなかなかのものです。

 

世の片隅で湿って埋もれた伝説や怪談をもとにしているのに、なかなか先の読めない展開で、各短編ごとにゆったりとジックリと楽しめました。

 

 

なるほどハヤカワはこういうラノベで来るのか、流石ですね、とか思ったりしました。

1巻2巻と読みましたので3巻に入ります。