白銀の墟 玄の月 十二国記 読了しました。
3.4巻が発売された日の夕刻辺り、Twitter見ていたら一気に完読しました云々とのtweetが少なからずあって、ああ皆さん元気なんだな、若いんだねぇーとか思いましたね。
私は1章以上を1日ペースぐらいで、この数日前に3.4巻も完読。
文章について、fantasyについて、ぼやかして書きますが以下ネタバレありです。
終盤の首都の舞台表、途中から語り手の視点が改行することもなく度々変わる。
そんな感じで読んでいくと、これはワザとそう読み難くもとれる文章にしているのだと解る。
登場人物が多く、舞台表が混迷している状況で、敢えて読者にも其処彼処で暫し立ち止まってくれと要求されているのだ。
事実そういった読み方が正しいのであって、面白さクライマックスで筋と先々に釣られて文章を読み飛ばすと結局ダイジェストめいた印象しか伝わらない。
凝縮されて、なお豊かで奥深い世界の展開は、個別キャラ視点を長々と書いていけばいいと云うものではないのだろう、それだとあの疾走感は失われてしまう。
舞台展開から城の外に視点が向かいだすと、それは明らかな技法めいた文章になる。
阿撰は言った『』、この次に阿撰でもその周囲でもなく、その言葉の内実が城の外にて語られる、この文章が引っ付いている。
それから、fantasyの使い方の上手さ。
話全体としては荒涼とした救いのない世界で、もう全くfantasyらしくない。
空を飛ぶ騎獣があっても、人の果を生む樹があっても、不老の存在が多々彼処にいても地味な歴史小説めいた筆致である。
そこで最後に、舞台上での時を経ての王との再会のうえでの黒麒麟覚醒。
姿が解けた、ホントにシンプル過ぎる文章で、ここぞとfantasyの華を咲かせます。
見事なものです。
それと、阿撰キャラの複雑なおもろさ。
当初麒麟達が仮王?の元に行ってみれば無為と喪失だけがあって、阿撰という敵が敵として成立もしていないとう不思議な状況。
これが、麒麟が近づいて政治をなそうとしていく上で、徐々に阿撰が『敵』として形作られていくという軌跡の不思議さ興味深さ。
そして最後には見事に大悪役らしくジタバタするのですが、このキャラのキャラクター変遷を違和感なく描けたのは凄いです。
また、なぜ狼燦は?という謎は残りましたが、これはまた将来短編ででも明かされるのでしょう。
まとまりもありませんが、とにかく何か書きたくなっての今日の文です。
失礼しました。