いまさら翼といわれても、読んだ。 「古典部」シリーズ 米澤 穂信Kindle 版
アニメ化もされた古典部シリーズ、の最新短編集。
感想は分割したり、順も不同。
村上春樹の小説では、パスタを茹でているときに電話がかかってくる。
そこから物語が始まる、こともある。
この短編集ではオレキホータローが焼きそばを作っている。
冷蔵後の具財をそろえたり、冷やし中華をつくっている事もある。
作り終わってさあ食べよう、というときに電話がかかってくる。
マヤカの漫画研究部の続き。
先輩が辞めて意外な展開を見せる。
マヤカには似合わない展開をずっと続けることができるのは、作者の手腕ならではか。
箱について、一種の密室バリエーション?
視点を大きく変えることによって、全然わからないのに、なるほど簡単と導くミステリー手本のような作。
単行本未掲載だがアニメ化されている連峰。
読むと一味違う。
過去の評判・評価といったものは覆しようのないものだが、手間暇時間をかけて真相を探ってくれるのは本人の人徳故か?
ああ高校中学って、こういうややこしい所はあったねぇ、若いことは羨ましいけど、こんなごちゃごちゃした関係には戻りたくないなと、ふつうに思わせてくれた作品でもあった。
一方。自分の過去のわだかまりを話せる人がいるって、いいもんだな、いいんだろなと思える作品。
ここで触れられてることは私にとっても結構重要だった。
誠意が通じる、その相手と場所と時を判断しなくてはいけない。
誠意とか親切で仕事をやってあげると、そんなあれこれの子供っぽいエピソードではなくて、結構年を経た大人にも、ああそうだねと、ため息交じりに頷きそうな話。
著者特有の含みの多い表題作。
私には有名なポップス一曲が、背景に聞こえてきた。
背景の背景、といったところか。
そのポップスとは違う格闘や苦悩もあるんだ。
彼女の苦悩を素直に描けるのは、特定モラルに沿うのではなくて、人間の一人一人を見据えることのできる作家だからできること。
- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/06/22
- メディア: 文庫
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