田中ロミオ ラノベ AURA~魔竜院光牙最後の闘い~
アニメを見て原作が読みたくなった。
周辺人物、クラスの貴族クラス高橋とか大島あたりの小説での描き方にも興味があった。
貴族トップの高橋については原作もアニメも変りなしで、私的には肩透かしだった。もっと立ち回りの狡猾さなんか書いてくれてるかと思った。
大島については主人公へのフラグがあったのではないかと推測したが、それは私がアニメの見過ぎのせいだったようで、小説では堅実なラスボスぶりでした。
もちろん小説だからリアルままではなくてデフォルメも効いて、お話になっているのだろうけれど、昔昔の私達の頃の学生生活は男女が用事以外で話すことはそんなに多くなく、そんな中で会話能力の劣る私なんかも紛れる事が出来たように思うが、今の様に男女生徒の会話交流もクラスで珍しくなくなると、コミュ障気味の生徒たちは大変だと思うし、そんなことからもスクールカーストみたいな区分が浮かび上がってくるのかと、判らないまでも嘆息したりした。
でも小説らしさはちゃんとあって、主人公のコミュ能力の相当な高さを不自然に感じさせない事とか、オタクがクラスに集結しているとかも役に立たなそうで最後に効果を発揮する仕掛けだろうし、また主人公の過去の痛みについては間接的に描いているので読者が読んでいて暗くなったり嫌にならない所は上手なもの。
ヒロイン佐藤良子については、もう仕方が無いもので、あそこまでいくといじめる気持ちもわかるぐらいの、そんな小説のバランス感覚が適切なかんじ。
それやこれやでヒロインが徐々に生身の苦悩を、微かに見せ始める終盤がこの小説の大きな見せ場。
札束で寂しさと荒涼をみせるのも、やるせなくて良いです。
屋上でのクライマックスはアニメではやり過ぎだと思っていたが、原作があれでは映像化もああなるのはやむなしか。
しかし、やっとのことで佐藤良子が絶望を口にし始める場面は、雨ではないけれども主人公が濡れながら其の言葉を受け止めて返す場面に続いて、うつくい。
事件後のエンディングもアニメでは気恥しい感じだったが、原作小説では違和感なかった。あの可愛さをアニメでも出して欲しかったものだ。
アニメの感想
http://oidon00.hatenablog.com/entry/2013/10/10/195356
灼熱の小早川さん (ガガガ文庫) 田中 ロミオ
http://oidon00.hatenablog.com/entry/2013/12/01/204946