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ヤクザとオイルマネー 石油で250億円稼いだ元経済ヤクザが手口を明かす: 猫組長,渡邉哲也  を読んで

現代、日本の石油流通については安定供給を至上命題として厳密な管理供給体制が出来上がり、国際比較で高値安定にすることにより市場の混乱を無駄に避けるようになっている。

この中、日本の一個人がいかにして石油を買う事が出来たのか?

 

まずツテを頼ってマレーシアに飛ぶ。

そこで初歩的な概況を俯瞰して、次はサウジアラビアに飛ぶ。

 

ここからスポットのホルダーを紹介されるのだが、紛争地帯と国をまたぐことになり地理的にも治安的にも容易く行ける場所ではない。

この当たりから、状況は冒険小説めいてくる。

しかし吹かした自慢話ではなくリアルな突貫であることは、費やした金の具体額と状況の生生しさが裏打ちしている。

旅の途中、イスラム国に入ろうとした数人を目撃する場面は印象的。

 

様々なツテを頼り、人材の数を確保しながら目的地に向かって行く姿は、図らずも現在の石油需給システム全体の強固な排他性を浮かび上がらせる。

それは産油国以外は、大きな国家単位でしか参加できないものなのだ。

その膨大な利潤と、国家政経上の重大性ゆえに。

 

また、日本のカジノ法については対談両者の議論があったり、コナミがいち早くアメリカのカジノ機器に参入、またカジノの銀行的役割、ヤクザのカジノ対応あれこれと、いろいろ語られる。

 

風説の流布』ではない「SNS相場」とか、心の琴線でなく具体的な金銭に響きそうな話題もある。

 

石油は第二のゴールドであり、第二の武器であり、だからこそ直接テロにもつながる。

テロとの戦い』は他人事ではなく世界から身近に迫って来ている。

それに対抗する世界的な法構築が、日本を除いて完成しつつあったという冷や汗物の状況。

世界の現在進行形の危機、その侵食と蔓延と歯止めを伝える割とマトモな一冊。