金色機械 (文春文庫・恒川 光太郎)
著者は今まで、遠野物語から派生したような瑞々しく且つ現代風な奇譚幻談といった作風であったが、そんな今までのスタイルと比較して、若干エンターテインメントに舵を切ったかと思わせる歴史fantasy。
物語が一本の力強い線にように読者をグイグイと引張り、別の章では別の新しい線がすーと引かれたかと思うとこれもまた引きつけてくれる。
そうした色んな線が過去現在に分かれていつの間にか繋ぎ合わさり、終盤で大きな太い線になる。
ストーリーのかんたんな紹介で言えば、江戸以前か昔々の隠れ里に、なぜかスターウォーズのC-3POの金色の身体が祭られている、という感じで、絶妙な不思議さをみせます。
『 時は江戸。ある大遊廓の創業者・熊悟朗は、人が抱く殺意の有無を見抜くことができた。ある日熊悟朗は手で別の異能を持つ女性・遙香と出会う。謎の存在「金色様」に導かれてやってきたという遙香が熊悟朗に願うのは― 』
しかし、この作者は隠れ里といった古潭・奇譚を書くと独特のリアリティがあって面白い。
いままでも隠れ里っぽい話はあったけど、今回は又一味違うもの。
第67回日本推理作家協会賞受賞作と、伊達に受賞しているわけでは無い、それもあります。