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化物・わたもて・鉄鼠、コミック3点.

[西尾維新, 大暮維人]化物語(3)

 

西尾維新化物語というのは新しい古典になったんだと、つくづく思わされた。
アニメ化によって大きく開花して、サブカル世代の常識めいた如くの周知徹底が、アニメと原作小説の二つを原作として、大暮維人は新たに深く異なった陰影を見せてコミカライズして見せた。

 

大暮維人は良い原作に巡り合えたものだ、もしくは、大暮オリジナルを捨てて果敢にも二番煎じ三番煎じの汚名や罵詈雑言が降り掛かるリスクを取って、その中に己の世界を完成させて見せたものだと、感服しました。

 

3巻では八九寺真宵の哀愁ある表情がとても印象的、いろんな顔を描けてこその本物の画力というものです。

 

この分だったら化物語は新しき古典として、歌舞伎化や実写化や本コミックのアニメ化なんかも当然ありそうな気がしたりしてきました。 

 


私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(13) 谷川ニコ.

 

ネットでポコポコ評判になっていたので、途中から作風が変わっていったとの事だったのでシリーズ半ばから読み始めたのだが、結局あとで最初の巻もよんでしまった。

アニメ化もされていたが内容的に自虐が過ぎてるみたいな印象だったし、あの絵だしその頃は読む気にも見る気にもなれなかった。

 

今回読み切って、巻はじめごろの自虐あるあるかもを頁一杯に叩きつけるような画風ではなく、シリーズ途中から4コマ漫画にも似た着実なテンポと画風に変わって来る。

 

勝手な推測だけど、アニメ化で予想外に人気が出てしまったので、ホントは数巻で終らせるはずだったのが、この主人公をどう生かしていけば好いのだろうかと、著者は結構悩み考えた挙句のロングスパンの群像劇・サブキャラ設定になったのではないか。

 

修学旅行編が旅行ドタバタで終るイベントではなくて新キャラ紹介のプロローグでもあったことは巻を見返して観ると良く判る。
実際、加藤さん初登場も新幹線隣席だった。

 

群像劇の描き方もうまい、修学旅行で同室になった無口不愛想な田村さんが友達からのラインを無視していたら部屋にやってきてアレコレ。
何があったのか描かないそれだけだけど、後々になって友人女子が田村さんを裏切って云々というモノローグを入れて、そこは飛んでもないシーンなのだが、背景で陰の様にして描くことなく話をバックに仕込んでいるのは中々巧妙です。


この手のものが結構あってストーリーに不思議に豊かな膨らみを見せます。

 

ネットで月2回程の連載ですが、なかなか脂がのっているような面白さがトテモ乗っいるコミックです。

( 描いてないとおもってたが、田村さんの件は8巻69の階段場面で『南さん達に誘われて』『断ってきてよ』とさり気無く描かれてました ) 

 


鉄鼠の檻(5) 京極夏彦 志水アキ (著)

 

好きなシリーズなのだが、やはりこの鉄鼠檻は難しいかと思っていたが、最終巻になって見事に雪崩落してマトメてくれました。

 

原作小説の饒舌な衒学、教養の奔放な遊戯、それが会話や演説や謎解きに言葉コトバとしてたっぷりあるのだが、コミックでは言葉を大胆に削りに削って、空間と間合いで物語世界を見せたのだか凄いもの。
原作ファンとして楽しめました。