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海街ダイアリー、ライト姉妹

海街diary 1 蝉時雨のやむ頃 (flowers コミックス) Kindle
   吉田秋生 (著)


こういう傑作コミックがあったんですね。
声を大にして語るのではなく、ああそうなんだよと心の腑に落ちる作品。

 

鎌倉での四姉妹物語。
四姉妹の誰がサブと言う訳でもなく、しいて言えば縦糸になるすずだろうか、それでも姉妹それぞれを描いて余すところがない。
最初の数話など、昔見た向田邦子のドラマを思わせるようだった。

 

欠落、喪失、そして病気、金、そして再現、再開、けっこう深いテーマもあるけどサラサラとしっかりと、コミカルだけど落ち着いて描く、画く。
大人が読める、いい作品です。


昨年末に完結したばかりの最終巻を読了しました。
その後すぐ、また最初の1巻からじっくりと読み直してしまいました。

 

 

      *  *  *   *  *  *  

 

ライト姉妹(1) 
ヒキコモリの妹を小卒で小説家にする姉と

無職の姉に小卒で小説家にされるヒキコモリの妹  (谷川ニコ)

 

作者はキャラの立て方、キャラを画で建てるのが上手い。
姉妹それぞれエロティックさの微妙な仕込み方。
ワタモテ主人公が身体の線を出しても、いつも見苦しいのとは対照的。
良いも悪いも作者にセンスが有るから描くことが出来るんでしょうね。

 

いろいろと不安を抱えて危なそうでも、タワーマンション住まい。
読者に心配をかけ過ぎず、読者に妬ませもしないような塩梅具合。


今日では普通の文学というのは良くも悪くも洗練され過ぎているので、小説や評論も何を書いてるのか分からない所がある。
そこで、此のコミックのように見も蓋もない言葉も付いた視点、ラノベから文学を遠く小さく見上げる俯瞰を魅力的な画によってシンプルに提出されると、今日の小説文学状況の全体がちょっと分かったような気にもなる。

 

もはや貧乏と悲惨と反社会だけでは読者の共感を得る事は困難なのだ。

 

むつかしい評みたいに書いたけどコミック中身は全然そんなことなくて、アニメやコミックやラノベやブンガクをネタにカラリカラカラと笑わせてくれます。

 

頭の隅や奥に凝り固まった文学アタマ? をほぐすのに効果ありの一冊です。