チートラノベ二題
チートといっても、そもそも普通のファンタジー指輪物語とかハリポタとかでも、魔法で空飛ぶとか透明化とか火をつけるとか有り有りな訳で、その時点でもう既にチートに振り切っているので、今のなろうとかラノベが本質的にチートとか、それ程声高に言い続けるまでもない、だろう。
そのままで変な言い方になるが、作者が異世界に行って女奴隷を買いたいという気持ち、頑張って購入して『交歓』したい気持ちが真摯に伝わる誠実さが伝わって、その読後にカンシン。
奴隷を買うお金を得るため、冒険でもなく決闘でもなく戦闘でもなく人助けでもなく、寝込みを襲撃----寝ている男女数人を殺戮するという露骨な切実さ?
コミックも、作品の良い所を抽出して更に膨らませたかのようなイイ出来。
ただ、ノベルも巻が多い目になってくると、最初の世界観が完成されてしまい作者も満足してしまったのか、面白さの幅が収斂して遁減していくようなカンジ、はある。
老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます、FUNA。
『 え、武器は用意しても、人を殺せるのかって?
殺せるよ、普通に。何か殺しちゃいけない理由でもあるの?
普通の人は殺さないよ、勿論。当たり前でしょ。
でも、自分を殺そうとして向かってくる奴を殺しちゃいけない理由はないでしょ。
何、相手の命を尊重して、黙って殺されろって? いやいやいやいや! 』
人は殺してもいいんだよ、という、そんな文章がサラリとあって蠱惑的。
同じ作者の、『私、能力は平均値でって言ったよね』でも、
『 メーヴィスの問いに、レーナはみんなを見回して尋ねた。
「ねぇ、みんな、人を殺したことはある?」
「「「え…………」」」 』
とライトでもなろうでも、このモチーフは作者にあるようだ。
コミック版では、シーカンシ―西洋貴族作法を、あまり見かけない前方から描くという工夫もあり。
ライトノベルから自主投稿なろう小説ヘの流れは、小説の商業主義からの解放をもたらした。
開放されたからと言って、小説が必ず良くなる面白く為る訳では決して無いけれども、
内容について出版社や編集者の意向をスルーした、作者の書きたい面白さがダイレクトに伝わる術が格段に増えた事は事実だろう。
要はどういうストーリーか、どういう文章かであって、こういうストーリーが唯一良い、こういう文章が唯一正しいという訳でもないだろう。
私の青少年期と比べてみると、読み物はおそろしいまでに幅広く多様になったものだと、そうおもいます。
老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます(1) (シリウスコミックス)
- 作者: FUNA,モトエ恵介,東西
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/12/01
- メディア: Kindle版
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小説家になろう、FUNAさんのマイページ。
https://mypage.syosetu.com/79012/
『平均値』は米国版も出したそうで。
https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/79012/blogkey/2056334/
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