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彼女は一人で歩くのか? 森博嗣 。読了

彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone? Wシリーズ

 

普通の本格S F小説が、大きなキャンバスに厳格に線を引き緻密に彩色していくのに比べ、森氏はデッサンのような線画であっさり対象の輪郭を示す手法。

 

『 ウォーカロン。 

 「単独歩行者」 と呼ばれる人工細胞で作られた生命体。

人間との差はほとんどなく、容易に違いは識別できない。

 

研究者のハギリは、何者かに命を狙われた。

心当たりはなかった。

 

彼を保護しに来たウグイによると、ウォーカロンと人間を識別するためのハギリの研究成果が襲撃理由ではないかとのことだが。

人間性とは命とは何か問いかける、知性が予見する未来の物語 』

 

作者に近いような研究者は外界に無頓着。

007のような活劇が身に降り掛かっても淡々と状況に身を任せる。

 

AI、人工臓器細胞、ロボット、人間のアイデンティティ、がさりげなく巧妙にストーリーに織り込まれ、ラノベのように軽く読めつつも、私達が近く直面せざる負えないジレンマや問題に向き合うことになる。

 

作者、森博嗣の著作方針として昔の話ではあるが、分厚い長編小説は今求められないからキリのいい小さくまとまったノベルが求められている、そんな風に書く、とのコメントあった。

 

実際その通りの著作方針で、以後は『数奇にして模型』のような大冊は書いていない。

新書にしてl cmくらいの厚さの本をコンスタントに出し続けている。

 

でも本当に実績のところと見てみれば、それがシリーズとなって実質的には10冊くらいの二ミマム大河ノベルになっているので、読み手としてもやや困惑だが、こういう、今回の彼女は1人でみたいな面白いものをサラリと出されると、金銭的なことはともかく嬉しいものだと、そう思います。

 

でも、アマゾンディスカウントみたいなので、シリーズ読みは進捗状況によっていろいろ大きく割引ますよ、みたいな方針広報なんかもあっていいかも、なんて思ったりします。