oidon00のブログ

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社会学者がニューヨークの地下経済に潜入してみた、米国を知るもう一冊。

読みやすい。社会学者という題で、引いてしまうかもしれないが、語り口は学述でなく饒舌な独白体、村上春樹の僕に代表されるような小説的な文学的な語り口。

 

良くできたノンフィンションライターの書いたベストセラーのよう。

でもライターのようにノンフィクと言いながら創作や嘘を混じえたりしないし、特ダネを誇張することもない。

文学的な語り口だがテーマ探しに脱線したり、自分探しに陶酔することもない。

 

『 お金持ちのエリートと貧困層が共存し、社会階層を超えたダイナミックな動きを見せるニューヨーク。街を1つにつないでいるのは、外からは見えないアングラ経済の巨大ネットワーク。

何不自由ない生活を送りながら売春組織を運営する超高学歴セレブ、

野心を持ち階級を超えてグローバル都市を生き抜こうとするドラッグの元締め、

家族まで呼び寄せたのに犯罪に手を染め去っていく移民…。

出自も目的も異なる老若男女との出会いと別れを通じて、社会学者としての苦悩と成長を描いた稀有な1冊。 』

 

新しい形の成果を求めて、若い学者がニューヨークでアンダーグランドのインタビューを悪戦苦闘しながら続けるドキュメント。

 

底辺の売春、それと全く反対のハイクラス白人女性の遊び売春?、上下問わずに蔓延する白い粉、底辺と上辺とで違うビジネスの有り様、文化が違ってクラスを移動できない・・・簡単に言えば確固たる階級の壁、などなどなど。

 

売春システム分布についての多めのレポートだが、アメリカのリアルな内部構造を知る一冊になっている。

 

レッドプラトーンはアメリカの、軍事的な世界的関わり;強力な関係性指向性を示す本だったが、この本はアメリカの内臓の奥底から灯りを照して、そのあり様を示した様な本。

 

これも大層おもしろかったです。 

社会学者がニューヨークの地下経済に潜入してみた

社会学者がニューヨークの地下経済に潜入してみた