1518! イチゴーイチハチ!(4) (相田裕) 読んで。
どうしても同著者のGUNSLINGER GIRLと較べてしまうのだが、と言っても直接似ているところはまるで無いという見事さだが、この4巻を読んで、登場人物の傷について思ったことがあった。
ガンスリの義体達は傷を負ってもパーツは移植され、損傷が大きいと四肢部分ごと取替えられる。
記憶は最初にリセットされているし、薬の副作用で今の記憶も徐々に蝕まれる。
変わって私達の普通の世界では、人は傷と共に生きなければいけない。
オハナシのような絶叫やドラマがあるわけでも無く、日々淡々と傷を抱えたまま普通に生活している。
そんな普通の人生でも、ふとした弾みで傷が顕になったり、一つの傷が誰かの傷になっていたことに気付いたりすることがある。
銃撃戦や格闘や謀略がなくても、ひとの心の絶望や喜びはかわらず有り続ける。
むしろ死にゆく子供たちではなく、みんな死んでしまったからこそ、作者は生きつづけて変わりゆき成長する少年少女を描きたかったのだろう。
あまりにも淡々と素直な1巻あたりだったけれども、この巻になって人と人の傷が交差し、小さな、しかし力強いドラマが私たちの胸をうつ。
終わりと始まり、夢を諦めるその先、そんな話こそ今の私たちにふさわしい読み物ではないだろうか。