劇場アニメ、この世界の片隅に。 シネ・リーブル梅田でみました
映画を見始めて、いろいろと思い付くこともあったのだが、見ているともうただ見ていたくなって、日付が8月に近づく怖さとか、焦燥もあり外してくれたのかと安堵もあり、でもここで持ってくるか でもこの親子誰なんだとか、息を呑んだり安息だったりの終盤でした。
なにか感想を書こうかと、でも見終わったときは何も言えない文字にならない。
間接表現と言うか、スポットライトを直射するのではなくて日常風景の平凡な灯のもとに、その本質がゆっくりと動いてたのを圧倒されて見ていた気がする。
絵、風景、自然、段々畑、山、呉の軍港。そのスケッチの美しさと充実。押し付けがましくないが画面が満たされている。
妻を外に出して鍵をかけるという生々しい場面もある。でも歪んではいないし、ちゃんと後ですずさんに本気で怒らせている。
この映画の素晴らしさについて語る言葉がない、というのが身体的実感。
だから言いたい。
大阪の中心で小さな箱上映しかないのは何を考えているのだ。
この映画を見て、大箱で上映しない判断を下す日本映画界の盲目ぶり・ビジネスセンスの無さ・屑っぷりはなんだろう。
奈良では上映すらされない。カワセナヲミ一人に燥いでる官庁やナラ商業界は馬鹿みたいだ。
そんなことだから、もう邦画はアニメに圧倒されてしまったのだ。
紐の付いた焼夷弾の禍々しさ、爆発そのものでなく飛んでくる破片ポツリポツリピュンピュンの戦慄。
最初の空想癖とか座敷童とかあって、ちょっと水木しげるが入っているのか?とか思ってたら遊郭で少女再会らしくあり、そうでもないかとしていたら、時限爆弾でやっぱり水木しげるマンマじゃないかと思い至ったのは観終わってしばらく経ってからでした。
すずさんのキャラについては、ああ何と言っていいのだろうか。
きっと皆さんと同じ気持ちだと思う。
これは不朽の名作でしょう。