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少女キネマ 一 肇

十倉和成。中堅おぼっちゃん大学の1年生にして、20歳。

彼のボロ下宿の天袋から、絶滅危惧種の大和なでしこ “さち” がとつじょ這いおりてきたその日から、その停滞しきった生活は急転する。

 

少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語 (単行本)

少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語 (単行本)

 

 と、いかにもそれらしいラノベっぽい出だしなのだが、意外にもストーリーは真面に進み、映画の情熱を縦軸に、時として暑苦しく焦燥や絶望もあるが右往左往しながら、自分自身や過去に去った友人や下宿仲間や、様々な真相?に辿り着こうとするような、中盤はその迷走が目立ち、落としどころが見えないのだが、終盤の伏線回収にあたっては結構巧妙に構築された作品ぶりに感心したり、繊細どころかゴリゴリと力技展開に驚いたり、この辺は作者の力量に唸らされました。

 

真っ当な青春小説であり、

映画に取り憑かれた人間模様であり、

清純可憐で前髪を揃えたサチの物語、でもあります。

 

苦笑し切れない感嘆が伺える帯推薦文は、小説家 “綾辻行人” 氏、“乙一” 氏のもので、読み終えて成程と思わされます。

 

ラストもいいし、何だが浮揚感があります。

刈込みとメリハリ具合で、アニメ化したらとても良いものが出来そうにおもいます。