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日本奥地紀行 イザベラ バード。 そのコミック版とか

コミック版

ふしぎの国のバード 1巻 (ビームコミックス(ハルタ)) [Kindle版]佐々 大河

――これは、古き良き日本文化を取り戻すための物語。時は明治初頭。

東京から蝦夷まで、地図なき道を旅したイギリス人、その名はイザベラ・バード

冒険家。彼女の目的はただひとつ、滅びゆく日本古来の生活を記録に残すこと。

通訳の伊藤鶴吉をひとり連れ、日本人すらも踏み入ったことのない奥地への旅が、今はじまる!――

   

面白いのだが原作ファンには戸惑う。

例えて言って見れば、櫻井よしこの講演会に行ったところが、「世界の果てまでイッテQ」イモトアヤコの漫談を聞かされたみたいで、いい悪いではなくて違うだろと、いう感じ。

イザベラバードは絶えず頬を赤らめないだろうし、恥ずかしがったりもしないだろう。

彼女のストレートな知的さを描くには、シャイでお転婆な変な外人というコミックキャラは違うと思う。

それでもしかし、古典的紀行の名作を果敢にビジュアルにしてみせたのは評価したい。

幕末明治期の古写真を巧みに取り入れ、原作から小さな言及を引き出してエピソードにうまく仕立てる。

 

原作の片鱗は確かに在る。

 

 

コミック版というのを読んだので、久しぶりに原作紀行の頁を繰ってみた。

日本奥地紀行 (平凡社ライブラリー) 文庫 – イザベラ バード

――文明開化期の日本。イザベラは北へ旅立つ。本当の日本を求めて。東京から北海道まで、美しい自然のなかの貧しい農村、アイヌの生活など、明治初期日本を浮き彫りにした旅の記録――

  

日本奥地紀行 (平凡社ライブラリー)

日本奥地紀行 (平凡社ライブラリー)

 

どういうものかというと、

司馬遼太郎なんか幕末明治もの読んで、それからの明治の世の中はどうなったのか、維新の数年後の日本に行ってみたいと思わないだろうか?

それが行けるのだ、という風な名作。

 

当時は近代日本語がまだ確立されていなかったので、日本語の記録はやや読みにくいものですが、ほとんど今と変わらない精神と表現力をもったイギリス女性が、鮮やかに日本を再現してくれます。

 

似合わない洋服を着る日本人、

異人を見ようと障子を穴だらけにする村人たち、

光り輝く日本の山河、

落し物を半日以上かけて届けてくれる人々、

アイヌ村へ行く海岸、

山岳地帯でろくな食事がなく、「このミミズのような食物」と蕎麦を罵るバード。

喪われた日本の都市・社会・風俗・田舎・自然が色鮮やかに蘇ります。

 

この時期の日本を描いた外国人文章としては、アーネストサトウと並ぶ双璧。

ぜひ、ご一読を。

 

 

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