東野圭吾 - 白夜行
1月に映画視聴。
推理小説は特異な動機を作ることが出来れば9割方完成というが、それを納得させる出来。
風景をべったりと写取るようなカメラワークは邦画を見てる充実感。
ボーイミーツガールを裏返したような世界で、それが物語の鍵にもなる。
みていくと一種の悪党小説のような、自然犯罪?の様相を帯びてくる。
それが、どういう世界の縦線であり横線であるのかが判らないが、結末の付け方は見事なものでした。
アマゾンdvd評価が優れないのは原作小説の出来がいいからだろう。
そこで、映画が面白かったので小説も読んでみた。
映画では大まかにメリハリ付けて簡略されていた個々のキャラの描写の彫り込みが深くて面白い。
大阪辺りの、私の知っている地名も出てくる。
粗筋もいいのだけど個別のドラマの進行に興味が引かれる。
ヒロイン雪乃の学生時代の友達の描写など、映画では酷い苛められキャラになっていたが、これはちとサブキャラとしてメリハリ付け過ぎ。
原作では不器用だが飾らない魅力の設定だけど、その落差に驚いてしまう。
映画では刑事に焦点を当てすぎとか、ヒロインの結婚相手を変えてしまうとかもあり、原作読むと?とおもわないでもないが、映画の限られた時間内で収めるには、健闘してよく出来ていたと言えそう。
原作先に読んでたら不満あったかもしれん。
ラスト付近は映画の方がよく出来ていたと思う。
真相の解明から回想、逃走、発見、失墜とドラマチックでスリリングな演出は映画ならでは。
原作の書き様はややあっさり。
堀北真希の無表情に衝撃を受けた姿は中々の場面でした。
個人的な原作の不満は、大阪の描写があっさりしていた事。
たまたま知った地名がでてくると興味深いし、これはあの辺がモデルだなと推測できないでもない場所もでてくる。
そういう時に場所の詳細な描写が無いのは不満だったが、まあ私の個人的な興味でもあるし、それに多分この作者自体が事象に対して、それ程深い描写をせずに線画のような表現をメインにしているのだとも思える。
これは一方で非常に読みやすい、という効果もある。
昔のベストセラー作家の松本清張や司馬遼などは、一時は情報小説とさえ言われたように小説に含まれる情報が多くて、それは描き込まれた細密な油絵のように物語世界と背景を表現するが、やや読み難くなるという難点もある。
ベストセラーの昨今と比べるのもおもしろいです。
本作白夜行は流石超ベストセラー、小説も映画も大変面白かったです。
読みやすくもあります。
世界観的な意味の続編、幻夜もおもしろくよめました。