Barで聞いたこと、もしくは新しいエリア
『昔と違って早くからbarに来る人がいなくなった。
昔なら、飲みに行く前にbarでビールを一杯飲んで、準備体操のような感じでちょっと飲んでく人が結構いたものだが今はいなくなった。
早く時間に年を取った人がゆったり飲んでいる光景も見なくなった。
会社を退職しているか、もしくは働いてるけど実労時間が短いような、そんな優雅な老人が、夏ならまだ明るいうちからウィスキーを飲んでいることもあったけど、見なくなった。
老舗の他旦那みたいな人もゆったり飲んでいたりしていた。
老舗のbar、みたいな処は夕刊も数紙取っていて、早く来た客に出していたものだが、早く来る人も少なくなり、カウンターに夕刊を並べていても客は手に取らなくなったので新聞を取るのを止めてしまった。
以前は5時から店を開けていたが客が来ないので6時開店にした。』
など、barで聞いたこと。
早くから、うらなんばの立ち飲みに行ってみると、流行っている。
サラリーマンやワークマンに交じって、大学生らしきのもいる。
店のポリシーとして騒ぐのはお断りで、良いアテと好い酒をサッと飲み食いして、サッと帰って欲しいとのなので、人の多い立ち飲みなのにバーのような落ち着きがある。
もっとも流石に夜も更けてくると騒がしくなるらしい。
でも、こういう場所があるのは若い人にとっても幸せだと思う。
とにかく一人で酒が飲みたい時がある。
でも、王将やサイゼリアではなくて、自宅の自室ではなくて、いろいろやりきれなくて酒を飲みたくて、きちんと酒場で酒を飲みたい、時がある。
そんな時にそんな場所を提供できる。
だから若い人たちに、うらなんばが支持されるのだろう。
立ち飲みなんては昔からあるし、今も昔ながらのものが沢山残っている。
だけどそういう、街のあちこちに散らばった年寄の空気がしみ込んだ店ではなくて、新しいスタイルで、かつ同じような店が並んでいたり、近くに集まっている、そんなエリアだから好いのだろう。
今までは、ミナミで新しい店といっても一つの店単位だったり、新しいビル単位で画一的な統一がとれたものだった。
元々、うらなんば周辺は飲食店の空白地帯。もしくは疎らに点在する地帯だった。
それが数店の店が注目を浴びることになって、点から線、線から面、エリア的に活況を示すようになった。
面白いものだと思うし、その活気と活力は本物だと思う。
しばらくこちらにも足を運んでみたい