この世でいちばん大事な「カネ」の話 西原理恵子
マンガのえげつない切れ味と迫力がなくて、ちと説明くさいかなと、思って読んでいたら、次第にそれも気にならなくなった。
著者の七転八倒を厭わない軌跡は、言葉に説得力があり空虚でない。
やさしく平易に、働くことは正しいとおもう、とだけ語り掛ける。
数多くの強烈なエピソードは、そのまま著者の数多の挿絵作品に通じるものだし、其のえげつなさや激しさ・いかがわしさと表裏一体のものだと納得させられる。
他マンガ挿絵では口汚く狂犬のように相手を罵っていても本作の芯をなすストレートさに矛盾しない。
学生の頃の私が読んだら感動して涙したかもしれない。
時間潰しだけに終らない、良い本でした