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ロング・グッドバイ  村上春樹訳  感想

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最初は読むにつれて、ミステリーではなく風変わりな小説だという印象。

昔読んだが、こんなに悠々とした小説だとは思わなかった。

小説の文章がうまいので各章の終わり方も上手く、いつ終わっても形になってるような感じで、良質の短編がどんどん続いてるような感じも。

 

余裕とゆとりのある小説で、これにくらべると村上春樹の小説は長くとも意外と余裕がない。村上春樹の小説の方は、ずっと小説テーマの独自の世界に集中してる感じだ。

そうだからといって、ロング グッドバイ が散漫なわけではない。

 その他大勢のような多くの人物をえがいても、各々が明確な輪郭を持っている。

 

村上春樹羊をめぐる冒険が、 ロング グッドバイのオマージュであることがよくわかって可笑しい。絶世の美人の登場場面など感覚的には、そのまんまのかんじ。

 

ミステリや推理小説は若い時分に読まれる。でも成熟した大人が書いた小説は、その内容は子ども若者が正しく理解することができない。 だから大人にならなければ大人の小説は読めない。

だから年を経て、たまに小説を読み返すことは良い事だと思うんだけどね。

 

今回は現代の文豪による新訳で、従来省略されていた描写も加わり、雰囲気を楽しむだけの小説ではない、一々の文章で読者を引っ張り込む、新しく眼鏡を掛け替えて読む様な、より細部のクリアなロング グッドバイだとおもう