やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 第08巻
やはり俺⑧
今回のテーマは、『色々なかった事にして、今までの様にふるまう』、だろうか。
結構平坦な物語だったので驚いたが、かと云って面白くないかと云えば副うではない。
例によって変な手を使ってヒキガヤが解決を図るのだが、後には疑心と「始まっていないのに生じた挫折感」が生まれる。
主人公の責任は半分以下なのだが、この辺の気になり度合いの扱いが、作者微妙に上手いのだろう。
このシリーズは始め数作こそ、ラノベ的配慮のせいかイマイチだったが、林間学校編や修学旅行編でシニカルラノベの本領を発揮して見せた。
今回は鮮烈な面白さでは無い。
例えばaura最後の闘い、のようなものではなくて、どんよりとした日常を嫌な視点で見ながら右往左往する面白さと云うか、この辺りをヒロインの姉が絶妙に掻き回してくれる。
『色々なかった事にして、今までの様にふるまう』は現実でも別に悪い事ではなく、よくそんな風に誤魔化してしまうことは有るので、ラノベなのにリアルっぽいけど重くはならず、各キャラが普通に生きていることが本作の魅力だろう。
で、『色々なかった事にして今までの様にふるまう』いろんな人達の中で、立ち回りが一番巧妙なのが葉山。
作中ではあえて指摘していないが、先輩命令とはいえ葉山本人が目撃されると困るシチュエーションに、あえてヒキガヤを付き合せる事で完全な言訳を用意することが出来ている。 しかも行動に嫌みは無い。
こんなサブキャラ達がしっかりと描かれているから、主人公達の不器用で臆病なストレートさが生きる。
次の作には、ある種の破局があるのだろうか。
楽しみ?にしたい
やはり俺の
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