嵯峨野明月記 辻邦生

《 〈嵯峨本〉は、琳派の本阿弥光悦、絵師の俵屋宗達、商家の角倉素庵、の工夫が凝らされた歴史的書巻にして豪華本。 17世紀、織田・豊臣氏の壊滅から徳川幕府が政権をかためる慶長・元和の時代。 戦国の世の対極として、永遠の美を求めて〈嵯峨本〉作成にかけた光悦・宗達・素庵の献身と情熱と執念。芸術の永遠性を描く、…